TOMオフィス紹介:ジャパンフルフィルメントセンター 後編
こんにちは、Tokyo Otaku Mode(以下TOM)の越境ECの商品管理を行っている國米です。先日の記事に続き、越境ECの要であるジャパンフルフィルメントセンターについてさらに詳しくお伝えします。
前回は写真を中心に全体の雰囲気をお伝えしたので、今回はジャパンフルフィルメントセンターのマネージャーの末松さんにインタビューした内容をまとめました。
こちらはTOMの採用ページ向けに撮影した末松さんの決め写真です。ちょっとカッコつけすぎですよね、ハイ。
--TOMの物流センターは対外的には「ジャパンフルフィルメントセンター」という名称ですが、社内では「factory」と呼ばれています。倉庫なのに「factory」という名前にしたのはどうしてですか?
末松 TOMの越境EC事業には、「ファンにハッピーを届ける」というスローガンがあります。もともとは外部倉庫に委託していたのですが、よりよい物流サービスを行っていく上で、自分たちで倉庫を立ち上げる必要がでてきました。その際、会社のクリエイティビティを邪魔することなく、それでいて生産的であるという意味をもたせたかったのです。「factory」はアンディ・ウォーホルのスタジオ、The Factoryから来ています。通常、「物流倉庫」というと、単に商品を出し入れする作業の場所というイメージが強いですが、僕らはお客様(=ファンと呼んでいます)のハッピーを”想像して創造する”場所、ハッピーの生産工場という位置づけにしたのです。名前を決めるために1ヶ月くらいの間ずっと考えていました。実は倉庫の立ち上げで一番時間をかけたかもしれないのが、このネーミングでした。
--factoryの基本方針はありますか?
末松 倉庫内の作業は、油断をするとケガや事故につながることもあります。僕らは「Key Square」という行動指針を定め、倉庫内にも大きく掲示して毎日確認できるようにしています。倉庫内でメンバーが行動するときに、業務効率よりも、安全性、清潔さ、またハッピーの生産工場としての創造性を重視しようという内容です。おかげさまでfactoryオープン以来、現在までに倉庫内での事故は一件も起こっていないことは、少し自慢できることかもしれません。
梱包材置き場の整理整頓も徹底しています。忙しい時こそ、正確に安全に作業することを全員で意識しています。
--越境ECのシステムは何を使っていますか?
末松 実は、受注管理から倉庫管理(WMS)まですべてのシステムを自社で一から作っています。TOMは米国のポートランド(オレゴン州)にも倉庫があって、factoryと同じシステムを使っています。ですので、英語と日本語の両方に対応しています。システムはブラウザ上で動かしているので、ネット環境とスペースさえあればどこでも”倉庫”が作れる仕組みになっています。
また、先進的な取組として、携帯端末にBluetoothでバーコードリーダーを繋いだものをハンディターミナルとして使っています、これはコスト面で大きなアドバンテージがあります。一般的なハンディターミナルは1台で20万円近くしますが、僕らはAndroid携帯端末(約1万円)、バーコードリーダー(約2万円)、合計で1台約3万円で同じ機能を実現しています。
余談ですが、これを通称『スマポチ』と呼んでいます。スマホのブラウザ上でポチポチと倉庫システムが動く、という意味ですが、最初に開発したエンジニアのニックネームが”ポチ”だったからというのもあり、開発者へのリスペクトの意味も込められています(笑)
商品は全てバーコードで管理しています。バーコードのない商品も取り扱うので、入荷時に一手間かけて、まとめて管理できるようにしました。具体的には、バーコードシールの発行時に商品の情報を読み込ませておいて、パソコンの画面に出力したバーコードを読み込むことで引き当てて出力します。この仕組みもすべて手作りです。
--倉庫の管理はどうしていますか?
末松 先ほどの受注管理システムや『スマポチ』と同様に、全て自社で仕組みを作って運用しています。僕らはもともと倉庫管理のプロフェッショナルではなかったのですが、多角化していく事業や売れ筋商品にスピード感をもって対応するためには自社で作ってしまった方が良いという判断になりました。工夫を重ねた結果、現在の形になってきています。最近では、他社さんが海外のクラウドファンディングで成功したプロジェクトの海外配送を代行することもあるので、新しいノウハウも随時溜まってきています。
それぞれの棚には番号がついています。これは一般的な棚です。
大型のぬいぐるみは棚に入りきらないので、広いスペースでエリア指定してストックしています。
こちらは棚の中の小分けスペースごとにバーコードがつけてあり、それが商品の”住所”になっています。
さらに、通路にも”住所”を割り当ててロケーション管理はすべてマトリックス構造にしています。このアイディアのおかげで、商品棚の移動管理工数を大幅に削減することができました。
このあたりから話がマニアックになってくるので、興味がある方は是非こちらからお問い合わせください。他社さんと相互倉庫見学なども定期的に行っています。
--梱包へのこだわりを教えてください。
末松 越境ECでは送料の高さが常に課題になります。例えば、重さが500g変わると送料が1,000円も変わってしまうこともあります。国内配送と比較しても、ダンボールの最小化、軽量化がより強く求められます。一方で、配送中に破損しないための強度も必要です。段ボールのサイズ別に強度を調整して、ファン(=TOMのお客様)からのフィードバックを元に調整しています。
これは組み立て前の専用ダンボール。サイズ別に管理されています。
棚に置かれている商品を、購入されたオーダーごとに棚から取り出すことを「ピッキング」と呼びますが、そのピッキングリストの出力時に、推奨される段ボールが自動計算されます。
そして1商品ずつ丁寧に、最適なサイズの段ボールに収めて梱包します。
これは$3で付けられるギフト向けの梱包オプションに対応するための指示書です。
手元に商品が届いて、お客様が開封した時に最高の体験となるように、梱包の仕方も画像イメージとしてマニュアル化しています。
--特に忙しい日はありますか?
末松 TOMの越境ECは米国のお客様の割合が多いのですが、毎年のセール日として有名な、ブラックフライデー(毎年11月の第4木曜日に催される感謝祭)やサイバーマンデー(感謝祭の次の月曜日)はTOMでも大きなセールを展開していて、米国からの注文が圧倒的に多くなります。毎年恒例の、クリスマスに備えたシーズナルイベントですね。
また、中国向けにアリババのT-mall(天猫国際)にも出店しているのですが、11月11日の「独身の日」は一日に集中して大量のオーダーが入ります。人気のぬいぐるみ商品では一日で平常時の月間売上の5倍以上売れるので、factoryではこの日の前後は24時間体制で梱包と出荷作業を行っています。
TOMの越境ECで行った2016年のキャンペーンバナー、ブラックフライデー編。
こちらはサイバーマンデー編。
「独身の日」には渋谷にいるメンバーも応援に駆けつけます。写真は、激動の一日を無事に乗り切り、みんなで「サライ」を歌っている場面です。なぜ「サライ」なのかはTシャツの色からお察しください(笑)
ちなみに中国市場で人気が高いのはぬいぐるみです。
--どんなメンバーの方が働いていますか?
末松 働いている人の9割が直接雇用のアルバイトや社員で、長く働いていただいている方も多いです。10代から50代まで、幅広い世代のメンバーで構成されています。休み時間にはオフィスの休憩スペースでみんなで雑談しています。
毎朝、その日の作業予定と分担を確認し合うために、全員での朝礼とラジオ体操からスタートします。
--今後、factoryが取り組んでいくべき課題はありますか?
末松 もっと作業しやすく、もっと創造的になるために、まだまだたくさんやるべきことがあります。例えば、棚から商品を取って(=ピッキング)いくつかの商品を集めて梱包準備をする作業で、ピッキングをする人が移動する距離を短く効率的にしていきたいですね。さらに、ピッキングに使用するスマポチのデバイスを最新のものにアップデートしたいとか。商品を入庫する時のチェックと作業工程も、もっとスムーズになるように改善したいです。今後事業が多角化していくことにともない、返送作業や国内への配送にも対応していきたい等々。少し考えてみただけでもたくさんあります。
TOMでは全てのシステムを自社開発しているので、随時改善したいことを開発チームと打ち合わせしながら進めています。
--色々と答えていただき、ありがとうございました!
TOMの物流センター、ジャパンフルフィルメントセンターの紹介を2つの記事に分けてお送りしました。TOMの越境ECに対する関する情熱、こだわりを少しでもご理解いただけたら幸いです。
TOMはともにオタク文化を世界に発信するメンバーを募集しています。興味を持たれた方は気軽に話を聞きにきてください。現在、絶賛メンバー募集中です!
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