特別編:トップエンジニアたちの夜『シドニアの騎士』観賞会&座談会 ~Part1~

8月某日夜。Tokyo Otaku Mode(以下TOM)のオフィスにて、人気アニメ『シドニアの騎士』の観賞会&座談会が開催された。参加メンバーは下記の11名(※敬称略、五十音順)。エンジニアチームを中心としたTOMメンバーに、交流のあるお客様数名を加えた、なかなか濃ゆ~い面々である。

参加メンバー
伊藤 直也(KAIZEN platform Inc.技術顧問)
今吉 勇揮(TOMデザイナー)
亀井 智英(TOM CEO)
柄沢 聡太郎(クロコスCTO)
川崎 裕一(元はてな副社長/mixi取締役)
重岡 正(TOMエンジニア)
関根 雅史(TOM CTO)
田中 弦(Fringe81代表取締役社長)
堀木 洋志(TOMエンジニア)
丸山 有彗(TOMエンジニア・インターン)
三河 正宜(TOMエンジニア)

このたび、「TOMで面白い集まりがあるので覗いてみては」という誘いを受けた、わたくしライター岡田大が潜入取材を敢行し、メンバーたちによる、アツ~いシドニア論、マネジメント論、エンジニアリング論、コミュニケーション論などを横でじっくりと聞かせてもらった。今回から数回にわたり、テックブログの特別編として、その模様の一部始終をお伝えしていく。

なお、本稿にはシドニアのネタバレにつながる内容が多数含まれているので、そのあたりはどうかご注意&ご了承いただきたい。

この日、メンバーが鑑賞したのは、テレビ放映版第1期の第11話と第12話。今年6月に終了した第1期は全12話からなるので、ラストの2回ということになる。実は観賞会が開かれるのはこれが初めてではなく、同様の場を設けて第1話から第10話まではすでに数回にわたって鑑賞済み。いよいよクライマックスを迎えるにあたり、期待に胸を躍らすメンバーもチラホラ見受けられた(もちろん、テレビ放映時に個々で視聴は可能だったが、この会のためにあえて見ていないというメンバー多数)。

TOMではこのように、業界内外との交流を深めるために、さまざまな情報を交換するために、そして日本のオタク文化発展のために、遊び心にあふれたオトナたちが集う“魅惑の夜会”を不定期に開催している。

開始時刻が近くなるにつれ、参加メンバーが続々とTOMのオフィスに集結。ほとんどがお互い見知った関係ということもあり、そこかしこで雑談に花が咲く。会場は非常にアットホームな空気に包まれていた。

テーブルの上に並ぶのは、無数のビールに酎ハイ。そして、人数分の寿司折に、スナック菓子&おつまみの数々。観賞会、というよりは単なる飲み会、という雰囲気だが、これこそがTOMスタイルなのである。開催されるのは勉強会ではなく観賞会。お酒が入ったほうが盛り上がるし、忌憚なき意見も言い合える。

亀井 今回、新メンバーがいらっしゃいます!Fringe81の田中さん。Facebookで「シドニアの騎士」が面白い書いていたのを見かけて誘いました。確かエンジニア……?

田中 いや、僕エンジニアじゃないよ!システムは詳しいけど(笑)。

亀井 あ、そうなの?アドテクノロジーの会社だからエンジニアなのかと思ってた。シドニアはどこまで見ました?

田中 アニメ見てないんですよ。漫画は読みました。

伊藤 ネタバレ言わないでね!(笑)

ところで、

「前回ってどんな終わり方したんだっけ?」
「思い出せん(苦笑)」
「もう忘れてる(苦笑)」
「6話以降は、わりと絶望的な気分で見ていたような気が……」

というわけで、これまでのおさらいをすべく、開会に先立って第10話の後半部分を改めて振り返ることになった。そして……。

「思い出した!」
「ああ、ここまでだった!」
「ウワー、11話が超楽しみ♥」

こうして、メンバー全員の準備態勢が整ったのであった。

「さぁ、乾杯しますか」
「いや、乾杯の前にアレをやらないと(笑)」

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ここでメンバー一同、うっすらとニヤけ顔をつくりながら、テーブルを囲んで起立。各々が自らの前で両手を交差させ、両隣の人と握手。またたく間にひとつの大きな円が出来上がった。そう、シドニアファンには言わずと知れた“掌位”のフォーメーションである。かの有名な256機掌位には敵わないが、ここで形成された12機掌位もなかなか様になっていた(気がする)。

「ちゃんと確認して! 右手が上だよ!」
「間違えるとファンに突っ込まれるから(笑)」
「女の子と交互にやりたいよ……」

お約束の“儀式”が終わり、いよいよ乾杯。亀井・伊藤氏の挨拶ならびに乾杯の発声を受け、観賞会がスタートした。乾杯の発声はもちろん、「掌位」であったことは言うまでもない。第11話のオープニングテーマが流れ、メンバーの視線がモニターに集中。さぁ、ここからが本番である。

アニメ上映中は基本的に静寂が保たれ、誰もが口をつぐんで物語に見入っていた。しかしながら、印象的なシーンが流れると、その場で意見や感想がポンポンと飛び交うことも。とくに、お色気系や下ネタ絡みのシーンに対する反応速度は、みな極端に速かった。

ヌミがセミヌードになるサービスシーンが映し出されると。
「毎回あるな、この手のシーン」
「いつも思うけど、誰のために隠してんだよ(笑)」

イザナが巨大なガウナを見た瞬間に思わずもらした、「すごく、大きい……」というセリフに対しては。
「絶対に狙ってるよ!」
「(制作者は)悪い大人たちだなぁ」

そして、CM明け後に「すごく、大きい……」のシーンがリピートされると。
「悪質すぎるでしょ(笑)」
「いやいや、重要なことは繰り返すんだよ(笑)」

こんなやり取りをちょくちょく挟みながら、臭いセリフに失笑しながら、また、主人公・谷風長道らの活躍に「おおっ!」という歓声をあげながら、あっと言う間に第11話と最終第12話を鑑賞し終えたメンバー一同。最後の最後に第2期シリーズの制作決定ならびに、11月23日に第1話と第2話の先行上映イベントの開催決定の告知CMが流れると、会場に拍手がわき起こった。

「(続きを)やってくれなくちゃ困ります」
「早く見てぇ!」

やはりシドニアは大人気である。見る者の心をつかんで離さない。再生停止ボタンが押され、モニターのスイッチが切られるやいなや、興奮冷めやらぬメンバーによる、第1期シリーズの総括大会が始まった。

伊藤 クオリティ高すぎるでしょ。とくにラスト2話。すごかったっすね~。

亀井 だってあれ(戦闘シーン)をつくるのに、2年くらいかかってるんですよ。ポリゴンをつくるだけで相当時間がかかってるらしくて。第2期はまた新しくつくらなくちゃならないし、大変だよね。

伊藤 ちょっと目に入っちゃたんだけど、(第2期では)新ヒロインが登場するらしいよ。

一同 ふーん。

亀井 目に入ったって、なにを見たんですか?

伊藤 なんかね、思わず「シドニア」って検索したら(苦笑)。

一同大爆笑 ウハハハハ!

伊藤 原作の表紙とかも(アニメしか見ていない派にとっては)ネタバレになるよね。

柄沢 そうっすね。

伊藤 ひとつ思い出した。このあいだ、職場の同僚にブルーレイで5話まで見せたんですよ。すごくハマったみたいだったんだけど、帰って「星白」で検索したら、Googleのサジェストで「◯◯(ネタバレのため伏せ字)」って書いてあったと。「ダメだ、検索できない……」って嘆いてました。

一同大爆笑 ネタバレしまくり!

堀木 たぶん、星白の画像が欲しかったんでしょうね。

亀井 5話まで一気に見せたんですか?

伊藤 そうそう。1話、2話を見ても、みんな反応がイマイチなんだけど、3話で四天王がアレして、これどうなんの?みたいな感じになって、4話、5話あたりで「おー、これは面白い」ってなって、たいていほっこりして帰っていきますね。

柄沢 そして帰ってサジェッションして、どん底に落ちる、みたいな(笑)。

一同笑

伊藤 3話は面白いっすよね。四天王もアレだもん。

今吉 四天王アレでしたよね。

関根 いま思うとアレすぎましたね~。

※ネタバレのため「伏せ字、アレ」となっております

伊藤 ところで、亀井さんが持ってるそれ、なんですか?

亀井 シドニアの設定資料集ですよ。

柄沢 めっちゃ読みたいっす。

亀井 これ、関係者の人に先行で見せるお披露目会みたいのがあって、そこに行った人しかもらえない感じのやつなんだけど、欲しい人がいたらどうぞ。

柄沢 欲しいんですけど、直也さんが欲しそうな顔してるしなぁ(笑)。

一同笑 直也さんの笑顔がヤバい!

伊藤 (読みながら)おー、すごい。

柄沢 これ、売ってないんですか?

亀井 関係者に無料で配布されていたものですよ。というか、そのときにしかもらえないやつなんじゃないかなぁ。

伊藤 売っているやつもあるみたいだけど、どうも消費者向けじゃないみたいで。

一同笑

亀井 柄沢くん、欲しいんじゃないの?

柄沢 もう、直也さんに譲りますよ。

伊藤 マジで? いいの? もらっちゃって。

sidonia2

柄沢 いいっすよ。あんなにニヤニヤしている直也さんの顔、見たことないもん。シドニア、相当好きですよね? 今日が待ち遠しくてしょうがなかったんだなって思いました(笑)。

伊藤 いや~。改めてよかったっすね~、ラスト。いやほんと、ドキドキしながら見てた。

亀井 機体もさぁ、量産タイプじゃないはずなのに、あんなにいるの?って思うよ。だって、一時は二百何十機いたよね?

今吉 256でしたっけ? 256機掌位。

伊藤 それにしても、星白、アレだねぇ……。

亀井 まぁまぁ、そうなんだけど。

今吉 エナになっちゃってますけどね…

柄沢 なんで作者は星白にこだわるんですかね?

亀井 作者が? こだわってるのは直也さんじゃないの?(笑)

一同笑

堀木 直也さん、これからブルーレイで何回も見るんですか?

伊藤 なんだかんだで、エヴァンゲリオンとかも何回も見ちゃったんですよ。いっとき、第19話のセリフとか全部言えたしね。大学の友達と第19話ごっことかしてた。

一同笑

伊藤 11月の先行上映会まで、ブルーレイ、すり切れるまで見ちゃうかもね(笑)。

柄沢 新しい発見があるかもしれない(笑)。

亀井 第2期が始まる1カ月くらい前に、復習会やりますか。復習観賞会。

今吉 ブルーレイ集めて、別視点バージョンで見ればいいんじゃないですか?

亀井 どういうこと?

今吉 このアニメ、3Dでつくってるから、カメラ位置を動かせるんですよ。で、ブルーレイでは別角度から見ることができるんです。

亀井 へ~。すごい、それ。

伊藤 せっかくだから、完璧な音響環境で見たいっすね~。5.1で聞くとすごいらしいんで。

亀井 それは、どこかに場所を借りるしかないよね~。

柄沢 映画館!

亀井 映画館か(笑)。やっちゃいます? ドネーション集めて、TOM主催で。

堀木 小規模な映画館なら、わりと簡単に借りられるんですよね。

今吉 池袋のどこかの映画館で、深夜にアニメの作品を全話見るイベントとかをやってるみたいですよ。

堀木 (手元のPCで検索して)えーっと、個人で借りられるところもあります。100人から500人ならOKだそうです(笑)。

伊藤 でもさすがに100人集めてシドニア上映したら捕まるでしょうね。

今吉 入場券代わりにBD買ってもらえばあるいは…?

川崎 で、3巻だけ売ると。

一同笑

亀井 むしろ講談社から感謝状をもらいたいくらいだよ(笑)

柄沢 その場でブルーレイとかグッズとかを買うことを参加の条件にするとかね。

伊藤 グッズと言えばさぁ、シドニアグッズも欲しいと思ってるんだけど、いいのがないんだよね。Tシャツとか、これだ!っていうのがなかなか見つからなくて。カッコイイiPhoneケースとかがあればいいのにね。

川崎 カンペンとかは?

伊藤 えー! カンペン? あのね~、川崎さん……。昭和か?(笑)

川崎 昭和だもん(笑)。

伊藤 開き直ってるし!(笑)。

亀井 カンペンとか、久々に聞いた(笑)。

伊藤 あと、誰かに聞きたかったんだけど、艦長と司令補の纈は、どっちが権限を持ってるの?

堀木 攻撃系の指示に関しては艦長が最終権限を持ってるんじゃないんですか?

今吉 前は明らかに艦長のほうに権限がありましたよね。司令補がオッサン(勢威一郎)だったときは。

伊藤 オッサンは操縦士としては優秀でも、司令補としては少し微妙だったからなあ。エンジニアとして優秀でも、マネージャーとして優秀とは限らないということだね。

関根 深いな~。

伊藤 ただ、マネージャーの指示を無視してエンジニアが勝手に行動して、結果オーライというパターンもよくあるよね。長道が命令違反して戦果をあげる、みたいな。

堀木 わりとロボット系のアニメでは、そういう設定が多いですよね。

―――Part2に続く―――

※次回はエンジニア集団が、会社のチームワークとビッグデータの扱いについて激論を展開する模様をお伝えする予定です。ご期待ください!

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