Tokyo Otaku Modeのグロースハック術を公開 - A/Bテストの実例 -
こんにちは、Tokyo Otaku Mode COOの安宅です。
本日からオフィシャルブログを開始します。社内メンバーの持ち回りでブログを書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!
Tokyo Otaku Mode(以下、TOM) のイメージを日本国内の人に聞くと、「謎の会社」と言われることがよくあります。僕らは全世界で1,500万人のファンを抱えているものの、そのうち国内のファンは1%以下。いまいち何をしている会社というのが分かりづらいようです。僕らの情報発信も足りていなかったのもあると思うので、これから社内で使っている技術や運営方法について、このブログでたくさん公開していこうと思います。
第1回目の内容は、TOMで行っているグロースハックについて。
TOMは3年前の2011年3月24日にFacebookページをスタートしました。内容は日本のアニメやマンガ、コスプレなどの情報を伝えるオタクニュースメディアです。オタクというテーマ性やFacebookの成長トレンドに乗っかって、いまでは1,500万人を超えるファンを全世界で獲得しました(ありがとうございます!)。
Facebookページに海外ファンが1,500万人もいるものの、サービスを提供しているプラットフォームがFacebookに完全に依存してしまっているのは非常にリスキー! ということで、オリジナルサイト、otakumode.com(以下、.com) を開設しました。
多くのファンがいるFacebookページと、0から大きく成長させたい.com。そのために、Facebookページのファンを一人でも多く.comに流し込む必要がある。その一点にフォーカスして、僕らは施策を進めてきました。
具体的には、FacebookでLikeやShareを集めやすいバズるコンテンツを投稿します。そして「続きは .comで」という形で誘導し、コンテンツを見るときに会員登録を促すという流れです。
今回、説明を簡略化するために、ここでのゴールはいったん「会員登録完了」としましょう。会員数を増やすためにログインページ、メールアドレス認証などの各ステップでFacebook投稿で流れてくるファンが離脱しないように、ページや機能を最適化、改修していきます。その時、改修の順番は、上図でいう左側の「上流」から行います。「上流」の離脱率を低く抑えれば、会員登録完了(=コンバージョン)までたどり着く確率が高くなります。
スタート地点のFacebook投稿で大きな反響を得られることが、コンバージョンを高めるのに最も効果的です。TOMでは、各投稿にそれぞれ目的とKPIを設定しました。全ての投稿の反響を数値化し、その内容を細かく分析しています。毎日のFacebook投稿は、テレビ番組表のように細かくタイムスケジュールを組んで、1つ1つの投稿にかなりの労力をかけています。具体的な投稿の内容については、またいつかブログに書こうと思います。
今回は、Facebookから実際に外部サイトである .com へアクセスし、ログインをスムーズにしてもらうためにどのような施策を行っていたか、どのように会員登録率を上げていったかを紹介します。
まず、施策のスタートとして、エンジニア、デザイナーとキックオフ・ミーティングを行い、ログインページの改修/検証する項目を以下のように決めました。
<検証項目>
- ロゴの大きさ
- 白背景
- 背景の透過
- ページ読み込み速度
- クリック箇所
- ログインボタンの色
- ログインボタンの形
- ログインボタンの名前
- ログインボタンのアニメーション
- 全体のレイアウト変更
など
次に、上記項目ごとに仮説に基づいた数パターンのページを作成します。そのページでA/Bテストを行い、最適な組み合わせを検証していきます。A/Bテスト時は、きちんと信頼に値するデータ数を取得する必要があります。そのために、検証数を「95%信頼区間」で逆算して出しています。(興味がある方はGoogle検索してみてください)
さて、ここからはブログを読んでいる方に、ちょっとしたクイズを出してみたいと思います。それぞれの検証において、どれがもっとも効果(=最終的な会員登録率)が高かったでしょうか?
第1問:
Facebook投稿でコンテンツの内容を背景にどれくらいの透明度で表示すると良いかという検証です。Facebookログインすることで、どんなコンテンツが見られるのかをチラ見せして、誘導率を高めます。あなたの答えは決まりましたか?
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答え:
検証の結果、もっとも効果が高かったのはBの80%でした。ちなみに、80%の結果を元に、このあと5%刻みに透明度を変えていった結果、最終的に90%がもっとも会員登録率が高かったことも付け加えておきます。
では、次のクイズ。
第2問:
Facebookログインのボタンの形を変えることでクリック率が上がり、最終的な会員登録率が上がるかどうか。ボタンであることの視認性の高さや、思わずクリックしたくなるような心理的な効果を検証しています。あなたはどのボタンの形が結果が良かったと思いますか?
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答え:
結果はBの立体ではない楕円でした。個人的には立体的なボタンが視認性も高く、押したくなると思っていたので、この結果はショックでした。でも、こうした”思い込み”を数字で冷静に判断できるのがA/Bテストのメリットですね。
では、最後にもうひとつクイズです。
第3問:
全体のレイアウトを変更します。どの形がもっとも会員登録率が高かったでしょうか?
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答え:
結果は大きな差をつけてBとCが圧勝しました。念のため、ボタンのクリック率ではなく会員登録率で比較しています。シンプル・イズ・ベスト。ユーザーを迷わせないことはとても大事ですね。
これらの結果は、あくまで .com 上での検証結果です。違うテーマやサービス/プロダクトによって、同じような傾向があるかは検証してみないと分かりません。しかし、どういう風に検証を行えばいいのか具体的にイメージ出来たと思います。TOMでは、こうした細かい施策や検証が大好きなWebディレクターやグロースハッカーを目指すメンバーを募集しています。ご興味がありましたら、こちらからご応募ください。
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