3日で5万ドル!海外クラウドファンディング成功の舞台裏、全部教えます!〈武者パーカー〉

image alt text

Tokyo Otaku Mode(以下TOM)が海外進出のサポートを行っている「Samurai Armor Hoodies (通称:武者パーカー)」のプロジェクトが、僅か3日間で目標金額の5万ドルを達成しました。

クラウドファンディングは、やってみなければ分からない事が多い中で、可能な限り達成要因を積み上げて行かなければなりません。我々はプロジェクト開始前に徹底的な調査を行い、プロジェクトを成功させるためにやるべきことを固めていきました。

今回は、海外のクラウドファンディングに挑戦する際に目標達成のために役立つ情報を共有します。もちろん「資金調達をして何を実現するのか」というコアの部分が一番大事なのは言うまでもありません。しかし、その想いやプロダクトを世の中に知ってもらうためには、あらゆる手を尽くす必要があり、また経験から得たノウハウも必要となります。

もし、あなたが世界に発信したいコンテンツやプロダクトを持っているのなら、是非読んでみてください。


海外クラウドファンディング成功の舞台裏

ユニークなプロジェクトを企画する

image alt text

『武者パーカー』は、Studio696の代表であり自身が所属するアニソンロックバンド〈milktub〉のボーカリストであるbamboo氏がプロデュースしています。

この作品は「不審者パーカー」シリーズの「武者」バージョンとして日本国内で発表したものがベースとなっています。この「不審者パーカー」シリーズが国内で好評だったことと、それを見た外国人の反応がとても良かったことがきっかけとなって、今回の海外展開へと繋がっていきます。

bamboo氏が『武者パーカー』を作る際にこだわったポイントは以下

  • 世の中に無いものをファンと一緒に作る
  • ちゃんと実用性を重視して作る
  • 面白いことを広めたいという気持ちが大事

海外展開を進める上で、新たな色の追加、サイズの追加、仕立てやデザインの見直しなどを行い、更に進化したラインナップになっています。

『武者パーカー』の特徴は、とにかく他にはないユニークな商品であることと、直感的に「面白い!」と思えるコンセプトやデザインを持っていることです。クラウドファンディングで一番大事なのは、言うまでもなく資金調達が成功した時に作られる商品です。他では手に入らないユニークな特徴と、プロジェクトオーナーがその商品に込めたこだわりや熱い想いが伝わった時に「支援したい!」という気持ちが生まれるのです。

プロジェクトの計画をしっかり立てる

image alt text

実際に海外のクラウドファンディングに挑戦してみようとなった場合は、プロジェクトをスタートさせる前にしっかりと計画を立てる必要があります。TOMでは、プロジェクトの企画内容を上記のようなスプレッドシートで管理しています。

まず、クラウドファンディングを検討するに当って、以下の項目を事前にチェックしておきましょう。

  • プロジェクト開始前に十分な試作品(プロトタイプ)は作れるか?
  • 問題なく海外展開できる商品か?(仕様や法律、宗教や文化の違い)
  • 調達した資金のうち商品の開発や製造に使える金額はいくらぐらいか?
    • プラットフォームの手数料
    • 調達資金の送金手数料
    • 海外への配送料
    • 場合によっては関税が掛かる
    • 場合によっては消費税が掛かる
    • それら諸経費を考慮した上で適正なリワード金額を設定する

これらの準備が不十分のままプロジェクトを開始してしまうと、目標金額に届かなかったり、資金を集めた後の進行に苦労したり、挙句の果てにはプロジェクト自体が大赤字になってしまう可能性があります。

例えば、ある先行事例を元に使用用途の内訳を円グラフにした物が以下の図になります。このように、調達した資金のうちのどれくらいの金額をプロダクトの開発費やリワードの制作費に使えるかを事前に調査しておかなければなりません。特に海外対応となると、思った以上に配送部分にお金が掛かります。

image alt text

プロジェクトを最後まで通して成功と呼べるものにするためには、プロジェクトの設計段階からしっかりと固めていく必要があるのです。

プロモーションをプロジェクト公開前に行う

クラウドファンディングの場合、プロジェクトを始めるまで情報を伏せておいて、開始直後から盛り上げるといったやり方はハードルが高いようです。設定した目標金額を超えられるかどうかは、プロジェクト開始後3日以内に決まると言われています。

資金調達を成功させるためには、事前に商品の認知度を高めて、プロジェクトがスタートしたら「是非支援したい」と思ってくれるファンを増やす以外にありません。それでは、具体的に何をすれば良いのでしょうか?その答えは「できること全て」です。

image alt text

プロジェクトスタート前の事前プロモーションだけでも相当のボリュームがあります。それでは『武者パーカー』で実際に行った事前プロモーションの具体的な内容を紹介していきましょう。

1. 試作品(プロトタイプ)を作り込む

image alt text

クラウドファンディングは、自身の企画を実現させるために資金調達を行う手段ですが、企画書だけで資金が集まるほど簡単ではありません。特に、最近では支援者もクラウドファンディングの仕組みに慣れてきているおかげで、試作品の時点でかなり具体的なサンプルを作らないと出資してくれなくなっています。

また、過去に「目標金額は達成したけれど開発や製造が難航して商品が手元に届かない」といった苦い経験をしている支援者も増えています。そのような経緯から、プロジェクトスタートの段階で「いかに実現可能か」を証明しなければならない状態になっているのです。

クラウドファンディングをスタートさせる前にまずやるべきことは、実現しようとしているプロダクトの試作品をできる限り作り込む事です。

今回の『武者パーカー』では、日本国内で作りこんだ土台があったために、実際に着れるほぼ完成品同様のパーカーを作ることができました。クラウドファンディングは第一印象がとても大事ですが、ここの作り込みでその全てが決まると言っても過言ではありません。

2. イメージ(動画や写真)を作り込む

商品の試作品が用意できたら、プロジェクトを魅力的に見せるための動画や写真を用意しましょう。プロジェクトへの出資を後押しするにはイメージが大事です。

クラウドファンディングでは、プロジェクトの顔となるプロモーション動画のクオリティに最も気を使うようにしましょう。すでに成功したプロジェクトの動画を徹底的に調査して、渾身の一作を作り上げるべきです。長さは3〜5分程度で、プロジェクトオーナーの意気込みや商品の魅力が分かりやすくまとまっていることが大事です。ネット上でシェアしたくなるようにキャッチーに仕上げるセンスも必要になるでしょう。

また、商品の写真は思いつく限り多くのカットを撮っておきましょう。その商品が手に入った時にどんな体験が得られるのか、支援者が具体的にイメージできるように、利用シーンや活用事例、商品のアップや引きのカットなどのバリエーションを残しておくと後々活用できます。

完成度の高い試作品と共に、動画や写真のデキが目標の達成確率を左右します。Web上でのプロモーションを成功させるために、クオリティーの高い素材を用意しましょう。

3. 出せる情報は全部出す

image alt text

次に行うことは、そのプロジェクトに関わる情報をできる限り出しておくということです。どういうことかと言うと、自身でWebサイトを持っているなら事前告知や制作秘話を掲載したり、その商品の特設ページを設けて情報を集約する場を作っておきます。SNSアカウントを持っているなら、Webサイトの更新情報を投稿したりイベントを作成するなどして、予め興味のある人を集めておきます。アカウントが無ければ、専用アカウントを事前に作っておきましょう。

Prefundiaというサービスを使うと、事前にメールアドレスを登録してくれたファンに対して、プロジェクト開始時にメール通知を送ることができます。こういった所でも、しっかりとストーリを伝えて、プロジェクトに興味を持ってもらうようにしましょう。

この段階の目的は、事前にプロジェクトを支援してくれるファンを集め、クチコミで広めてもらったり、有益なフィードバックを貰うことです。プロジェクトの主催者が気づかないような指摘を受けた場合にはできる限り対応します。もしもプロジェクトの成功に関わるような重大な指摘があった場合には、予定を延期してでも改善を図りましょう。

事前にファンコミュニティを形成することができたプロジェクトは、その時点でかなり目標達成近づくことができます。そのためにも、出せる情報は全部出し、ユーザー目線のフィードバックを集めることが大事なのです。

4. メディアやインフルエンサーに知ってもらう

image alt text試作品、動画、写真などの素材がある程度揃い、サイトやSNSの準備ができたら、次はいよいよ知ってもらう段階に進めます。

クラウドファンディングで資金調達を行う商品は、恐らくまだ世の中にないような「面白い」商品だと思います。メディアは読者の注目が集まりそうなネタがあれば進んで掲載してくれる所が多いので、これから始めようとするプロジェクトの魅力を知ってもらう努力をしましょう。

  • プロジェクトと相性の良いメディアをリストアップする
  • 掲載して欲しい内容をまとめて分かりやすく紹介する
  • 可能な限り多くのメディアにオファーを出す
  • 連絡済、掲載確定、見送りなどの進捗ステータスを管理する
  • 掲載されたら記事のURLを記録して、後々分かるようにしておく

今回TOMでは70種近い媒体をリストアップし、全てにオファーを出しました。掲載率は内容やタイミングにもよるので、ダメ元でも多くの媒体に声を掛けるのが良いでしょう。

事前告知で興味を持ってくれたメディアには、プロジェクト開始時や途中のアップデート情報なども掲載してくれるように取り計らい、集客の種を早いうちに仕込んでおく必要があります。

メディア掲載結果リスト(プロジェクトスタート後集計)

image alt text

そして、Web上にはメディアに負けないくらい影響力のある個人が沢山存在します。プロジェクトの内容と親和性の高い人に注目してもらえれば、そのファン層に情報が伝達して、もの凄いパワーを生むことが期待できます。

プロジェクトの内容と相性の良さそうな業界、カテゴリー、コミュニティなどに属している友人や知人に、プロジェクトの盛り上げに協力してくれるよう相談してみましょう。また、相手にとってメリットがある場合には、直接知り合いでなくてもオファーを出してみる価値があります。

もちろん、強引な押し売りをして相手に嫌がられてしまっては逆効果になるので、好意で受けてくれるようなアプローチをしていきましょう。

5. 実際に商品を見てもらう!

image alt text

既に試作品が完成している場合には、直接人に見せたり、実際に使ってもらった感想を聞くことを推奨します。『武者パーカー』の場合、外国人の反応を確かめるためにアメリカまで現物を持って行って、イベント参加や観光地を歩くなどの事前プロモーションを行いました。

Japan Week 2016 @NYC After Report

やはり実際に現物を見てもらってダイレクトな反応を見ることは、ネット上では得られない貴重な情報を多く得ることができます。

ある程度の試作品ができ上がったら、どんどん外に出て行って多くの人に見てもらうことをおすすめします。

1つ、プロジェクト開始後の出来事として面白い展開がありました。とある経緯から、世界的人気DJのNicky Romero氏とコンタクトを取る機会ができたので、来日した際に急遽イベントに飛び入り参加して、持参した『武者パーカー』を手渡しました。すると、彼は快く『武者パーカー』を装備した後、自撮りをした動画をTwitterに投稿。このような予想もしていなかった流れを作れたのも、事前の準備を積み上げていったおかげだと言えます。

いよいよプロジェクトスタート

image alt text

ここまでやってようやくプロジェクトスタートです。もちろん成功するかどうかは結果を見るまで分かりませんが、少なくともこれらの施策を行うことで成功する確率を格段に上げることができるはずです。

KickstarterやIndiegogoにはダッシュボード機能がついていてプロジェクトの分析を行うことが可能です。Googleアナリティクスのトラッキングコードを埋め込むことも可能なので、アクセス解析を元にプロモーション強化のプランを練ることができます。

image alt text

『武者パーカー』の場合は、英語版Rocketnews経由でアクセスした方からの支援が非常に多かったため、「その角度でウケる見せ方」に気を使ってアクションプランを立てるということを行いました。

プロジェクトがスタートしてからは、支援者とのマメなコミュニケーションや、定期的なアップデートを行っていくことになります。更に、資金調達完了後には、実際に物を作って支援者の手元に届けなければなりません。そこはTOMの強みであるECの物流機能がフル活用されることでしょう。

Tokyo Otaku Mode では海外クラウドファンディングに挑戦する企業様の支援を行っています。日本のエンターテインメントやポップカルチャー、ユニークな商品を世界に広めたいと思っている方がいらっしゃいましたら、こちらからお問い合わせください

クラウドファンディング関連記事