これがシリコンバレー流グロースハック! 未開拓のチェックインシステムで勝者になれ。

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Foursquare Tokyo Meetup_004 by TAKA@P.P.R.S on Flickr

この記事は、Quora(米国のQ&Aサイト)に投稿されたものを、私たちTokyo Otaku Modeが日本語に翻訳したものです。執筆者はMarkus KirjonenさんというUIデザイナーの方で、スタートアップについて多く書かれています。私たちはMarkusさんから許可をいただき、この投稿を日本語に翻訳して日本で発信する機会を得ることができました。合計6回にわたり、有名スタートアップ企業がどんな方法で新規ユーザーを手に入れたのかについて、実例をもとに紹介していきます。

今回は、前2回(Dropbox編 / Quora/reddit編)とは少し角度を変えて、スマートフォンの普及に伴い成長を続ける位置情報サービスにターゲットを絞った記事となっています。Foursquareというアプリをご存知でしょうか。チェックイン、というアクティビティは主にFacebookなどでも注目を集めていますが、そのチェックインに特化したアプリ、Foursquareが爆発的にヒット。今では4500万人ものユーザーを持つアプリとなりました。今回は、そのアプリの成長過程からビジネスヒントをもらいましょう。

「位置情報サービス」がリリースされてから約10年、多くのアプリがそのサービスを有効活用している。スマートフォンが位置情報を実装してから、この分野の競争は激化した。地図や位置情報をフル活用したアプリの数は増えていて、コンセプトはとてもシンプルなものが多い。これといった成功者はまだ存在していない現状だ。だが、この分野には数えきれないほどの競合他社が存在している。例えば、Gowalla、Loopt、Google Places、など…。サービスは多岐に渡る。

その中でも、1つ秀でたサービスがあるのをご存知だろうか。Foursquareというアプリで、2009年にリリースされたものだ。チェックインをメインとしており、メディアの注目も大きい。4500万人のユーザーを持っており、この分野のビッグプレイヤーだ。

##Foursquareとは?

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foursquare badgers 1 by clasesdeperiodismo, on Flickr

位置情報サービスは、Dennis CrowleyとNaveen Shelvaduraiのどちらも仕事で扱った事のあるサービスだった。Dodgeballという位置情報をベースにしたSNSサイトはそのうちの1つ。Crowleyが、大学院時代の卒業論文のプロジェクトとして始めたもので、2009年にGoogleに買収されたサービスだ。彼はFoursquareを立ち上げるまで、そこでずっと働いていた。

2人がそれぞれ持ち合わせていたアイディアは、Crowley家でのディナーで出会う事となった。「どうやって初めて訪れた場所を開拓してる?」「行き先、どうやってメモしてる?」「ゲームのシステムを、現実化したかったらどうやるかな?」…。自分が気付いたことのメモや、これからのサービスの可能性を1年以上話し合い、2人は共同で全く新しいアプリ、Foursquareを立ち上げることとなった。

最初のプロトタイプのリリースは早く、2008年の6月にはテストが可能となった。試用を重ね、2人はリリース日の期日を設定。South by Southwest(SXSW)という、テキサスで行われるクリエイターのイベントまでにリリースをすると決めた。この時点で、まだFoursquareのチームはCrowleyとShelvaduraiの2人だけ。それでも、この2人は自分たちで設定した締め切りまでに間に合わせ、アプリをリリースした。

結果は成功。ユーザーはゲーム要素を好み、「市長」として、相手をその土地から「排除」するアクティビティにハマって行くこととなった(特定の場所に最も多くチェックインした人が「市長」となることができる)。その月で、4000人もの新規ユーザーを確認することができた。

ところが、初期リリースが成功したにも関わらず、ユーザーの新規登録者数は翌月から徐々に減少していった。幸いにも、新しい都市を追加するようになり、ユーザー数増加に繋がったのだが、このアプリの魅力とは何なのか。何がユーザー登録へと繋がっていったのか、細かく見てみよう。

###ゲーム感覚のアプリ
他のアプリと大きく差別化を図ったのが、ゲームのシステムをアプリに組み込んだことだ。人々が定期的に訪れる場所にチェックインすることで、ユーザーはその場所の「市長」となることができる。これにより、様々な場所の「市長」になりたがる、ユーザー同士のチェックインの競争が行われた。それに類似して、ハマる要素としてバッヂシステムを導入。様々なイベントを達成することで、称号を得られるものだ。例えば、「Bender」は、同じ場所に4夜チェックインし続けることが条件。「Pizzaiolo」は、20ヵ所の違う場所からピザをオーダーすることでゲットできる称号だ。外出して、こういった称号を獲得していくのは案外おもしろく、ハマってしまう。

興味深いことに、Foursquareは最近このゲーム要素をSwarmという別のアプリへと移行した。これは、Foursquareを使うユーザーが、検索アプリとしての用途でFoursquareを使うことが増えたことに伴っている。ゲーム要素が検索ユーザーを邪魔しないために、この2つは別々のアプリとして分けられたのだ。これについて、彼らはこの記事で言及している。以下は抜粋だ。

「近い将来、Foursquareは更なる進化を遂げるだろう。位置検索サービスは、デジタル化したタウンページだ。(みなさん覚えているだろうか…。)私たちは、位置検索サービスは、自分好みにカスタマイズでき、信頼できる情報が提供されているべきだと考える。よく知らない他人の意見だけでなく、専門家の意見は重要だ。これからのアプリは、『とても重要なデートがあるので、ディナーにベストな場所を教えて』という質問に答えられるべき。『ここから1番近いガソリンスタンドはどこ?』という質問にしか答えられないアプリはもう古い。私たちは今、新しく開拓を目的としたFoursquareをリリースするための、最終段階に入ってきている。」

###顧客を使ったビジネス面でのメリット
Foursquareが成長した別の理由として、ビジネス面でのメリットがある。ユーザーだけではなく、Foursquareを通して企業側もビジネスを紹介したり、常連客と話をする機会を設けたり、顧客を優遇するサービスを行うことが出来るのだ。このおかげで、「市長」はアプリを友人に紹介し、企業もアプリを顧客に紹介するメリットがあるため、更に多くの人に広まることになった。

###街から街へ

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Check in to Foursquare or Gowalla with a live Bambuser broadcast by tomsun, on Flickr

先ほど述べたように、新しい街を追加することで、Foursquareのユーザーには増加が見られた。徐々に新規ユーザーが増えて行くという段階的なプロセスではあるが、毎回新しい街を追加する度に、ユーザー数は急増した。この戦略は、次回紹介するGrouponの取った戦略と少々似ている。これは非常に賢い方法で、新しい街へ広がっていく度に、地域的な注目とオンラインのメディアの注目の、両方がされるようになるからだ。そしてGrouponと同様、小さな地域にそれなりのユーザー数がいる状況の方が、広範囲にユーザーがばらけているよりも、サービス内容的にメリットが大きい。

この、新しい位置情報アプリは結果的に成功。SXSWでリリースをしてから2年、アプリ内でのチェックインは平均して毎日300万回も行われている。なんとあのオバマ大統領もユーザー登録しており、彼が訪問した場所を広めるのに使っているとのこと。

このチェックインに伴ったシステムや特徴は、人々が前々から興味を示していた分野だ。もしアプリでマーケティングを考えているのなら、この分野に目を向けてみるのも良いかもしれない。


今回は、位置情報サービスに特化したアプリのケーススタディでした。ですが、彼らのビジネスモデルやマーケティング方法、顧客獲得方法などからは学ぶことも多かったのではないでしょうか。私たちTokyo Otaku Modeは、EC事業やアプリのリリースを始めとして、全世界に日本のポップカルチャーを発信したい、という熱意を持っている仲間を募集しています。興味がありましたら、こちらからご応募ください。