徹底討論!社内の技術情報共有ツール - GitHub Wiki, Qiita:Team, esa.io (特別編:トップエンジニアたちの夜 『シドニアの騎士』観賞会&座談会 ~Part4~)
こんにちは、ライターの岡田大です。
お待たせしました。特別編「トップエンジニアたちの夜」のPart4をお届けします。
※Part1~3未読の方&内容を忘れてしまった方は、Part1・Part2・Part3を一読してからお楽しみください!
リモートワークを成功させるために必要なモノとコトについては前回お伝えした通り。ルールとマナーなくして成り立たないことは言うまでもなく、そのことをメンバー(とくに新人)に徹底させるために、リモートワークを積極的に導入している伊藤氏は、ガイドラインをドキュメント化することにより意識の共有を図っているという。その際に活用しているのが、技術情報共有サービスQiita:Teamである。堀木氏の口から「Qiita:Team」という言葉が発せられるやいなや、参加メンバー一同がこれに食いつき、座談会はチーム内における情報共有に関する話題で持ち切りになっていった……。なお、取材のあいだじゅう、筆者が「“聞いたチーム”って、おかしなサービスの名前だなぁ」と思っていたことは内緒である。
川崎 そのリモートのガイドラインとか流れていっちゃいけない記事のストックは、Qiita:Teamでどういうふうに扱ってるの? 共同編集してる?
伊藤 プロジェクトページっていうのがつくれるので、あれをただのリンク集にしておいて、大事なドキュメントは手でリンク貼ってますね。
川崎 ああ、そうなんだ。なるほど、なるほど。
伊藤 そこにバーッと書くという感じです。
川崎 タグでの記事分類は使ってる?
伊藤 タグは使ってはいますけど、揺れが起きるし、付け忘れとか付け過ぎとかがあるから、それほどでもないですね。なんだかんだいって、むかしのYahoo!みたいにサーファーがインデックスつくってあげるのがいちばんかなというので、リンク集つくってます。
一同笑
堀木 最近GitHubのWikiが使えなさ過ぎて、情報共有が全然できていないから、ちょっとした情報でも共有できるようにQiita:Teamにしようかと思っているんですけど、なんかこう、UIが気に入らないんですよね。使いづらいというか……。
伊藤 でも、あれよりいいのは現状ないから、もし欲しいなら自作するしかないですよね。
堀木 いまは某ズルいデザイン人のアルファ版サービスを使っているんですけど。
伊藤 あれか。esa(esa.io)か?
関根 エサ、エサ。
伊藤 あれはまたコンセプトが違いますよね。
堀木 確かにコンセプトはちょっと違うんですけど、あっちのほうがQiita:Teamより使いやすい気がしますね。ただ、超アルファなんで。ちなみに、直也さんがかかわっているところは、基本的にみんなMarkdownを採用しているんですか? 僕は最近、Markdownで書こうぜっていう社内教育したんですけど、とくに誰にも響いてないみたいで(苦笑)。
丸山 いやいや、僕には響いてますよ(笑)。
伊藤 やっぱりMarkdownに全部変えていくってのが近道ですよ。KAIZENのセールスの人もふつうに Markdown 書きますよ。
川崎 それは当然ですよ。
堀木 当然ですか?
川崎 当然、当然!
堀木 けっきょくMarkdownで書くと、ある程度制限されるじゃないですか? Google Docsよりは。で、文章構造みたいのを考えると、ここで♯を3つ付けて、見出しを付けて、ここにはこれが入る、みたいなのを意識されるなぁっていうのが。
伊藤 エンジニア的にはそうですね。
今吉 Markdownにすると、どこが重要かっていうのがわかりやすいですよね。リッチテキストとかにすると、書いている人もいま大事だと思った瞬間にでっかくしちゃうから。ホントにそれが前に書いたものと比べて大事かどうかがわかりづらくなる。
堀木 大げさな人になると、いきなり全部に♯を付け始めるかもしれない。
関根 ですよね~。
伊藤 で、もっと辛いのは、Markdownの書き方を間違っていて、リストがリストになっていないとか。
一同大爆笑
伊藤 そういうトラブルはよくあるけど、一生懸命聞いてみたらそんな感じで。そういうときは、僕が編集リクエストして直したりしてますね。
関根 はっはっは(笑)。リクエストしなくても。
堀木 Qiita:Teamは共同編集じゃなく編集リクエストですからね。
伊藤 そうそうそう。リストの先頭のハイフンが全角になっていて、リストになってないとかいうこともありました。
堀木 ああ、そういうところが、実はエサのほうがよくて、エサは勝手に書き換えられるんですよ。
関根 うんうん。
堀木 なんかオーナー側の権利がまったくなくて、編集した人のアイコンが出るんですけど、初期バージョンだといきなりあれが編集した人の顔になって、自分が書いた記事か誰が書いた記事かがわからない(笑)。
一同笑
堀木 あれが、カテゴリを変えただけで別の人の顔アイコンになったっていう(笑)。
伊藤 それはちょっとね……。
堀木 でも、最近は改良されて、編集された人はこう、ちっちゃいアイコンになったんですけどね。
重岡 直也さんのところでは、日報も全部Qiita:Teamでやっているんですよね? 日報は書いてないんですか?
伊藤 基本全部Qiita:Teamですね。でも、日報は強制じゃないですよ。
堀木 強制じゃないんですか?
伊藤 はい。日報を強制にすると、つまんないことしか書かなくなりますからね。そもそもみんな「日報」を書きたいんじゃなくて「面白いことを」書きたいんですよ。
堀木 ああ、そういう面はありますね。僕は一時期、イケてるツール集みたいのを書いていましたし。
伊藤 義務化すると、その主従関係が逆転しちゃいますからね。僕の知り合いのとある会社の人が、日報を書くのがいいって誰かから聞いたようで、Qiitaを入れたときに40人くらいの社員に「日報は義務です」って言ったんですよ。そうしたら、日報、日報、日報って、「日報」の二文字しか並ばない状況になって、なおかつ中を見ても誰も所感とかを書いていなくて……。ただただ辛い、という雰囲気になってしまって。
堀木 読むのもつらい。
関根 わかる……。
堀木 僕らはエンジニアなんで、Githubのプルリクのやつとかを自動的に埋めて、それ以外の面白いところだけ自分で書くっていう話とかも……。
伊藤 それでも全然よくて、要するにいちばん面白いと思うことを書けばいいんじゃないかと。僕の日報なんか、最後に書く所感のほうが長かったりしますもん。
関根 書きたいことがありすぎて(笑)。
伊藤 そうそうそう。所感からが本番、みたいな(笑)。
一同爆笑
伊藤 Qiita:Teamにはパブリックタイムラインがあって、そこに記事タイトルが出るんです。どんなささいな記事でも、パブリックタイムラインに乗ってしまうから、50人規模で使っていると、例えば「シドニアめっちゃおもろかったわ~」っていう記事が日報とかと一緒に並ぶことになる。みんなに読まれるから、書くときはみんな、ちゃんとエネルギーを使って編集して書くんですよね。
川崎 そうなんだよね~。
伊藤 だから、記事に対して記事で応酬するんじゃなくて、返信はコメントでやって、みたいな感じになっていますね。自分がむかし使ってたはてなグループとかは、返信はコメントじゃなく記事でって感じだったけど。
川崎 応酬みたいな感じにはならないんだね。
伊藤 ならない、ならない。基本はコメントで、ずーっとスレッドが続いていきます。
川崎 コメントから脱線した場合は記事を書く、みたいな感じになるの?
伊藤 うーん。よほどの場合はそうですね。でも、そのへんはやっぱりソーシャルスキルの高い人しかできない気がする……。
川崎 コメントの応酬で終わるって感じ?
伊藤 というか、なかったことになっていく、みたいな。
堀木 パブリックタイムラインの最新の投稿ってやつですか?
伊藤 そうそうそう。はてなグループにはパブリックタイムラインがなくてね。パブリックタイムラインがないと、逆にそんなに見られることを意識しないから、書きたいことをダラダラと気軽に書けるみたいなところはありましたね。ただまあ、2014年の現在にはてなグループは人には勧められない感じですけど。というか、はてなさん、全然やる気ないみたいだし。
一同笑
川崎 はてなグループって、さっき直也が言っていたように、なんでもかんでも投稿する場になっていたんですよ。
伊藤 記事単位で相手の投稿をとらえるか、ブログ単位でとらえるかによって違いがあって、はてなのツールは基本的にブログ単位になっています。で、RSSリーダーで一件一件読むんじゃなくってアンテナで最新記事をとらえる、対象の人に注目してその人がなにか書いたら上がってくる、という感じなんです。
一同 ふーん。
伊藤 要するに、記事が重要なんじゃなくて、記事を書いた人のほうが大事なんですよ。ツールの思想的には。
川崎 Qiita:Teamの場合はサイドバーとかの左をタップしたら最新記事が出てくるじゃないですか。記事一覧。はてなグループはそうじゃなくて、例えば人、例えばだれだれの日記とか、直也の日記とか記事じゃなくて日記のタイトル、それが最新順に並んでるんだけど、それしかない。
伊藤 アンテナしかない。
川崎 アンテナしかないから、そこを見ているだけだと新しい記事を書いたんだなってことはわかっても、なにを書いたかまではわからないんです。
重岡 その人がなにかアクションしたことによって?
伊藤・川崎 そう。
堀木 だから、更新したら、上がると。
伊藤 中になにが書かれているかは、基本的に見に行かないとわからないんです。だから逆に言うと、そんなに見られないからみんな好き勝手に書くんですよ。テキトーなこととか。
一同笑
伊藤 Qiita:Teamだと記事単位でパブリックタイムラインに載っちゃうから「メモ」とかそういうものでも出てくるんですよね。そんな個人的な書き込みがパブリックタイムラインにいきなり出てきても、これは自分に対して宛てていてるメモなのか、それともその人の個人的なやつなのかが、読んでいるほうからしたらわからない。だから、書く側もそこに気を遣って編集をする。
一同 なるほど~。
伊藤 アーキテクチャが決定的に違うんですよね。
堀木 で、誰か特定の人に宛てたいときはメンションをするっていう。
伊藤 そうです。
川崎 それはまだ慣れてないな~。スマートニュースで使ってるけど、慣れない。
伊藤 最初はたぶん慣れないでしょうね。でも、僕はもう自分の行動自体をQiita:Teamに最適化しちゃいました。いまかかわっているチームに、はてなグループを使わせるわけにはいかないですし。
一同大爆笑
川崎 それはわかってる!(笑)
伊藤 もう、Qiita:Teamでやるしかないっていう(笑)。
重岡 川崎さんはQiita:Teamをどこで使っているんですか?
川崎 スマートニュースですよ。
重岡 ミクシィでは?
川崎 ミクシィでも使うように進めていて、社内ベンチャーのそれぞれのリーダーに、日報というか、なにがあったかの報告を書くように言っています。
一同 ふーん。
川崎 そう言ってはいるものの、みんな書かないんですよ。
一同 ほー。
川崎 そう簡単にできるものじゃないなって。
堀木 ウチでいうと亀井さんみたいな感じですね(笑)。
伊藤 亀井さん、日報とか書かなさそう(笑)。
一同笑
堀木 ってか、なんで亀井さんいないんですか? いちばん聞いてもらいたいのに。
(※注……亀井氏はシドニア関連の話が終わると、まるでトイレに行くかのような何気ない素振りで席を立ち、そのまま戻らずじまいだった)
伊藤 亀井さんて、興味のない話題になるとふらっといなくなるよね(笑)。
関根 自由な人だから(笑)。
情報の共有―――。これは、同じ目的を持った者同士が集う場所、ひとつの共通するなにかを生産する場所においては、必要不可欠な要素となる。そして、いざそれを実行に移すに際し、重要になってくるのが“手段”ということになろう。チーム(会社)の方針、メンバーの技量、情報の内容と目的などにより、ベストマッチする道具は変わってくる。今回のエンジニア集団による激論を通じ、その実態があらわになったという印象だ。使い勝手の良さ、相性の良さは人それぞれ。先の回でお伝えしたリモートワーク同様に、最も大切なことはメンバー全員の意思統一が図られているか否か、なのかもしれない。
それにしても、日報を書く書かないの話から、亀井氏いじりに移行していく展開は非常に面白かった。欠席裁判が行われているその向こうで、当の本人はくしゃみでもしていたのだろうか……。そして、この亀井氏絡みの話の流れを受け、参加メンバーたちは次なる話題でさらにヒートアップすることになる。テーマは再びコミュニケーションツールへ。その詳しい顛末については、次のpart5(最終回)でお届けしよう。
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