出会い系サイトからビジネスを学べ!?世界一のベンチャーが教えるグロースハック術

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前回は、爆発的急成長を遂げたGrouponのビジネステクニックを紹介させていただきました。今回はなんと、「出会い系サイト」であるTinderからグロースハック術を学びます。会員がアクティブユーザーでないと成り立たない出会い系サイト。彼らのサービスは、コンテンツの質がユーザーの質と直接関係してくるもの。南カリフォルニア発の、1000万人のユーザーを持つTinder。そのメソッドは必見です。

※この記事は、Quora(米国のQ&Aサイト)に投稿されたものを、私たちTokyo Otaku Modeが日本語に翻訳したものです。執筆者はMarkus KirjonenさんというUIデザイナーの方で、スタートアップについて多く書かれています。私たちはMarkusさんから許可をいただき、この投稿を日本語に翻訳して日本で発信する機会を得ることができました。合計6回にわたり、有名スタートアップ企業がどんな方法で新規ユーザーを手に入れたのかについて、実例をもとに紹介していきます。

第一回:Dropbox編 / 第二回:Quora/reddit編 / 第三回:Foursquare編 / 第四回:Groupon

2012年後半頃から、出会い系サイトやアプリは数えきれなく存在してきた。その中の1つであるTinderも、くだらない出会い系サイトだろうと無視することもできるだろうが、それはとんでもない間違いだ。

現在、Tinderには日々1000万人を超えるアクティブユーザーがいると想定されている。Tinderは、このフィールドの中でも多くの競争を勝ち抜き、大手のうちの1つとなった。TechCrunchの『Best New Startup of 2013』でも表彰されている。出会い系サイトに抵抗がある人も、彼らの使ったメソッドや成長力は興味深く、知る価値があるはずだ。

#Tinderとは
Tinderは、2012年の終わりにリリースされたいわば出会い系アプリ。初期立ち上げメンバーには、Sean Rad、Justin Mateen、Jonathan Badeen、Christopher Gulczynskiがいたチームだ。

このアプリを使うためには、Facebookのアカウントが必要で、それを使って登録をする。アプリは、基本情報を集めて「実在する」人物であるということを保証する。その後、マッチしそうなお相手を紹介してくれる、というシステム。スワイプ1つで、相手のリストを見る事ができて、イイネすることができたり、飛ばすことが出来る。相互にイイネを押すと、プライベートな1対1のチャットルームが開かれるようになっている。

なぜTinderがそこまで注目されるのかは、その成長力にある。1年少しで、日々1000万人のユーザーを獲得してしまったのだから。

##まずは近場から。
アプリの設定として、半径一定キロ以内の人のみマッチさせるようにしたのは賢い選択だったと言えるだろう。長距離移動をしなくても会う事が出来る人のリストを見られたほうが、人々の関心をひくことができる。

これは、初期段階のユーザー不足を助けることにも繋がった。こういったアプリの場合、50人のユーザーが近場に集まっている方が、5000人のユーザーが世界中に散らばっているよりも効果的だからだ。Tinderのチームはこのことに気付き、近場の大学に焦点を絞った。(Tinderにとって完璧なデータだっただろう。)さらに、地域限定的にすることに特化させるために、南カリフォルニア大学(University of Sounthern California)でフラットパーティーを開催したのだ。入場には1つ制限を設けた。もちろんそれは、Tinderをスマートフォンにダウンロードすること。

これがヒットした。口コミがどんどん広がり、大学で知らない人はいないと言えるほどにまで広がったのだ。ここから、Tinderは爆発的に成長した。

「1月くらいだったかな。大学をターゲットに絞り込んだら、みんな家で従兄弟とか兄弟とか、友達に広めていってくれて…。そしたら突然、Tinderがウィルスみたいにどんどん成長していった」と、CEOのSean Radは言う。

##シンプル・イズ・ベスト。
アプリのマーケティングを行う上で、Tinderのチームはものすごくシンプルでわかりやすいアプリを開発した。これが素晴らしかった。今までのこういったウェブサイトはシンプルさよりも、より細かい情報を得られるような仕様になっていた。

私がとても良かったと感じているのが、「相互イイネ」のシステムだ。先ほど説明した通り、一方的にメッセージを送りつけることはできないシステムになっている。今までの出会い系サイトは、このメッセージが非常に厄介な問題だった。特に女性は、興味のない相手から膨大な量のメッセージを毎日シャワーのように浴び、サイト自体にうんざりすることも少なくなかった。同様に、男性もメッセージへの返事を全くもらえなかったり、メッセージを送ったにも拘らず拒絶されることが多かった。このシステムのおかげで、今までの出会い系サイトが抱えていた問題は解決されることとなったのだ。

また、このアプリにはもう1つ良さがある。「相手を探す」というよりも、ゲーム感覚で参加ができるということだ。今までのサイトとは違って、どこを見ても誰かのプロフィールが表示され、興味があれば右にスワイプ、興味がなければ左にスワイプという、ワンモーションでサイトを楽しめるようになっている。これは、HotOrNotやFacemashのファンが気に入っているシステムで、PCサイト用からスマートフォン用に改良されたものだ。

だが、これには少々問題点もある。ユーザーたちは、アプリ上での友人の数を競争し合うようになってしまう。友人の数が多ければ多いほど、その人はモテるということが数でわかってしまう。友達がアプリ上で自分より多くの友人数を持っていた場合、数を増やすことを目的として「イイネ」とスワイプするかもしれない。
たった1年で、Tinderのユーザーたちは合計で130億回も「スワイプ」したという統計もでている。それだけTinderのシステムは、ハマってしまうものなのだろう。

##Tinderから学ぶこと
Tinderのビジネスから私たちが学べる最も大きなポイントは、まずは狭いところから攻めて行くのが最も手っ取り早い、ということだろう。何をマーケティングしているかでそれぞれアプローチ方法は変わってくるが、ユーザーのエンゲージメントを1ヵ所に集めるため、1つのトピックや世代に絞るのも一手。または、Tinderが行ったように、近場の人をターゲットとしてマーケティングを始め、いかにそれを広めて行くかを考える方法もある。そちらの方が、広範囲に住む様々な世代の人を漠然とターゲットにするよりも、はるかに効果的だ。無論、パーティーのようなイベント企画はいつだって楽しい。

最後に、サービスをシンプルで面白い物にすることを忘れずに。Tidnerはまるでゲームのようにプロフィールを閲覧するシステムを利用した。従来の方法とは違ったものにする事で、ユーザーの心を掴もう。

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いかがでしたか。出会い系サイトといえど、かなりスマートな方法でユーザーを増加させており、彼らのサービスに対する目の付けどころや、ユーザーへのアプローチ方法は革新的なものもあったのではないでしょうか。使いやすく、ゲーム感覚でハマってしまうサービスを追求し続けることで、新規で獲得したユーザーを離さない。まさに、グロースハックと開発チームの連携がなせる技、といったところでしょうか。
私たちTokyo Otaku Modeは、「コンテンツの未来のために、何が出来るだろう」をコンセプトに、様々なチームが連携して全世界へと日本のポップカルチャーを発信しています。世界に向けてシステム開発をしたい。翻訳を通して、コンテンツを作って行きたい。そういった熱い思いを持ったメンバーを募集中です。ご興味がありましたら、こちらからご応募ください。